佐野・手焼きせんべい『じねん焼き』~下野新聞(平成17年1月13日)


※平成17年1月13日に掲載された下野新聞より抜粋

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平成17年1月13日 下野新聞に掲載

こだわりの味勘で勝負
佐野・手焼きせんべい『じねん焼き』

ぱりぱりとした香ばしいせんべいは
佐野市のもう一つの名物。
1947年創業の久保町「丸富」こと
加藤米菓二代目主人加藤功一さん(58)は、
市内でも数少ない昔ながらの
手焼きにこだわる頑固職人だ。

作業は午前7時すぎ、生地作りから始まる。
「以前はもっと早かったが機械化で、
随分と楽になった」と功一さんは笑う。
原料は厳選した田沼産のうるち米。
前日に洗米し製粉、蒸練、のばし、型抜き、
乾燥と作業が進む。
手焼き用はここで天日で乾かす。
生地は約7割の水分を取り、一日寝かせ、焼きに入る。

その日の気温や湿度、季節ごとに
ふかし具合や生地の乾燥を微妙に変える。
「シンプルだからこそ、コメ、しょうゆなど
素材そのものの味が、せんべいの出来を左右する。
毎日が真剣勝負」

丸富では手焼きのせんべいを「じねん焼き」と呼ぶ。
書家の相田みつをが命名した。
相田が世に出る以前の30年前、功一さんがそのセンスを買って、
しおりの言葉、包装用紙のデザインなどを含め依頼した。

手焼きは炭火に最も近い遠赤外線の下火を使う。焼きむらが出ないよう、
目と手の感触で一枚一枚手際よく返していく。
透き通った生地がきつね色になれば焼き上がり。
一日二百枚が限度だが、「昔ながらの手焼きは残したい」。
この道四十年のこだわりだ。


(投稿日:2013年06月04日)